借地権、底地

事例1 ~底地~

借地権付分譲マンションの敷地として貸し付けられている土地の評価につき、特別の事情があり路線価に基づく評価が不適当であるとされた事例
(国税不服審判所裁決平9・12・11)

 

借地権付分譲マンションの敷地として貸し付けられている土地の評価方法について、路線価に基づき評価するのか、それとも特別の事情があるとして個別評価するのかが問題でした。
・鑑定評価額:2億円
・財産評価基本通達による価格:7億2千万円
借地権付マンションの敷地を評価する場合に、財産評価基本通達によれば、自用地としての価額から借地権相当額を控除して評価することになります。

 

本件の場合は、
・底地と借地権とが併合されて完全所有権が復活する可能性が著しく低いこと
・契約更新等に係わる一時金の可能性がないこと
などから、底地が、地代徴収権に加えて将来底地と借地権とが併合されて完全所有権となる潜在的価値に着目して価格形成されていると認め難い場合には特別の事情があるとしました。
さらに審判所の鑑定結果は、割合方式による価格と収益還元方式による価格を基に、6千万円と評価した鑑定結果が得られました。
なお税務署側は、「収益還元法は、算定の基礎とされる純利益の予測には自ら限界があり、また還元利回りの数値の採用についても不確定要素が少なくない」ことから妥当性を欠くものと主張していました。

 

以上の通り、本件の宅地の価額は、2億円を下回ると認められ、本件更正処分はその全部を取り消される結果となりました。収益価格に90%の比重を置いた鑑定評価額が認められたことになります。